街を走って、電波の強さを測る
2026-09-19 更新
同じ東京都内でも、山間部と23区では観測される電波が違う。NICTの電測車が測った電界強度から、街の違いを眺めます。
街の空間には、携帯電話やテレビ、ラジオの電波が飛んでいます。その強さを実際に測って走ったのが、NICT(情報通信研究機構)の電測車です。2021年5月から2022年2月にかけて、日本橋を中心に半径100kmの範囲を約13,800km走り、電界強度を観測しました。
同じ東京でも、山間部と23区では違う
論文では、東京の観測結果を山間部、23区外の市街地、23区に分けて比較しています。各区分の中央値を並べると、次のようになります。
- 山間部104.0論文の農村部(rural areas)
- 23区外の市街地113.1山間部を除く都市部(cities)
- 東京23区119.2中心部(center area)
車で測った電界を1kmメッシュ内で平均し、論文の地域区分ごとに集計した中央値です。本文のこの3値には、周波数帯・キャリアの内訳は付されていません。通信速度とは別の観測です。
出典:Onishiほか(2023)の本文の数値を日本語の図に再構成。CC BY 4.0。2026年9月19日確認。
山間部は104.0、23区は119.2。23区のほうが15.2 dB大きい値です。dBμV/mは電界強度を表す対数の単位で、グラフの点が右へ行くほど観測された電界が強いことを示します。
測ったのは、その場所の空間に届いていた電波です。基地局の数を数えるのとは違う方法で、街の違いが現れています。
人が集まる場所と、電波の強さ
この研究は、携帯電話基地局の電界強度と人口密度の関係も調べています。東京・千葉の観測では、人口密度が大きい地域ほど、携帯電話基地局の電界強度が高い傾向が報告されました。
一方、テレビやラジオの放送波は、送信塔の位置も関わります。携帯電話の電波と放送波では、街のどこが強くなるのか、その分布の姿が違うのです。
道路を走った観測を、地図でたどる
NICTの公式地図では、関東に加えて札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡などの観測結果も公開されています。車で測った全帯域の電界強度を、1kmメッシュごとの平均値で表示しています。
観測年は2021〜2023年度で、地域ごとに異なります。地図の色は走行中に観測した値で、建物の中やキャリア別のつながりやすさを示すものではありません。
電波が届いた強さと、その回線がデータを運ぶ速さ。それぞれを測ることで、通信の別の面が見えてきます。通信速度の実測を見比べる
出典:Onishiほか「Large-Area Monitoring … around Tokyo」(2023)、NICT「電測車による測定結果」、NICT「環境中の電波ばく露状況を可視化した地図を公開」(2025年10月30日)。2026年9月19日確認。
ほかの読みもの
本文に示した資料をもとに編集しています。観測値は測定時点のもの、設備の整備・改善は各事業者の発表として記載しています。